2005年09月20日

紅一点

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【千寿姫・せんじゅひめ】


 この演目の(めぼしい)登場人物の中で、唯一の「女性(本物)」です。まぁ、たいてい演じているのは「男性」ですけど。

 序幕(=最初の幕)の冒頭の「初瀬寺花見」「神輿ヶ嶽の場」「稲瀬川谷底」の場面に登場します。つまり「通し」でしか見られない人物です。架空の人物で、*草子「信田(しのだ)」の世界に由来しているそうです。

 イラストのモデルは七之助です。ちっとも似てないけれど、「おぼこい(=まだスレていない・初々しい女の子)」感じは出せたかなと思います。ちなみに七之助の演じた千寿姫はとても可憐でしたよ。

 年齢は赤星十三郎より少し年上、弁天小僧よりは年下(おそらく14〜16歳ぐらい)ですかね。

 「お姫様」だからしょうがないけど、なんつうか「浮世離れ」した感覚の持ち主ですね。誰がどう考えても「うさん臭い話」でも、素直に信じちゃうタイプ。婚約者に化けた「悪い男」(=弁天小僧)benten_1.gifにまんまと騙され、深い考えもなしに駆け落ちし、山奥の廃屋寸前の辻堂(=小屋)に連れて来られて、はじめて騙されていることに気づくあたり、のんき過ぎるっス!

身分の高い「御曹子」の家だったら、ふつう、馬や駕篭の「お迎え」が来るでしょうが!

 恋愛感情のボルテージが、アイドルにキャーキャー熱上げている女子中高生のノリに近いものがありますねぇ。「顔だけ」の「ホラふき」男に、おめおめと引っ掛かってしまうあたり、世間知らずだし、「若い」証拠です。さしずめ今の時代なら、ホストまがいの若い男に騙されて、身も心もお金も貢いじゃうような女の子ですね。

 しかし出会った男が悪すぎましたね。婚約者は放浪の上に死亡、婚約者と信じていた男は「泥棒」であるという真実を知った千寿姫は、結局ショックのあまり自決。お気の毒としか言いようがありません。これは多分、「婚約者の顔」を知らなかったための不幸ですね。可哀想に。

 それにしても弁天小僧って、お姫様にも手を出していたってことは、純粋なゲイじゃなかったのね。

 
*「信田」…平将門の子孫として、幼い頃に父と別れた信田小太郎(=平将門の孫)と姉せんじゅ姫が、姉の夫・小山行重によって領土を奪われた上に国を追われ、老臣千原の犠牲と浮島太夫の活躍によって、苦労した末に義兄行重を討ち滅ぼし、かつて所有していた領土を取り返す。

室町期の草子から、「謡曲百番」や初期義太夫にも取り上げられてきた話。
posted by fuji_nishi. at 22:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | 白浪五人男
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