2005年10月30日

二幕目 第一場-雪の下浜松屋-(通し・見せ場)

<見どころ>
 通称、「浜松屋」。見せ場のみで構成されている芝居『弁天娘女男白浪(べんてんむすめ めおの しらなみ)』にもあるように、美女が男へと変貌する弁天小僧の場面は、最大の見せ場である。

[主な登場人物]

ben_thum.gif武家(早瀬主水)のご令嬢に扮した弁天小僧

nan_thum.gif若党・四十八(よそはち)に扮した南郷力丸

hm_thum.gif浜松屋の主人・幸兵衛

sounosuke.gif義理の息子・宗之助

yokurou.gif浜松屋の番頭・与九郎

sj_thum.gif用心棒の鳶頭・清次

daemon_1.gif謎の武士・玉島逸当こと日本駄右衛門

うさん臭い男・駄右衛門の手下・狼の悪次郎

*****


[あらすじ]


 鎌倉の八幡宮のそばにある雪の下の呉服屋、浜松屋は今日も大賑わい。店先では、うさん臭い男が注文した揃いの友禅の着物五枚の催促に訪れた。この男、なにやら店の「奥の方」の様子をしきりにうかがっているようなので、店の者が怪んで注文の着物はすぐに仕上げると約束し、丁重に追っ払う。忙しさもひと区切りついた頃、店員達は目の覚めるような"ト一(といち・美女のこと)"の客が現れないものかと、談笑する。

 そこへ高島田に振袖姿武家の娘と、お供の侍四十八が現れる。
hensou.jpg話の様子では、今日はどうやら婚礼衣裳を買いに来たようだ。「上客」と見るや、yokurou.gif番頭の与九郎をはじめ、店の者はお世辞べったりの対応をする。

 婚礼支度ということで、娘は京染めの振袖、錦の帯や緋鹿の子などを出させ、若党と選び始める。そのうち娘は、たくさんの商品が出ている中、(この店の商品と比べるため)懐から緋鹿の子の小裂れを出し、また人目をはばかるようにして懐中にしまい直す。この仕草を見つけた手代が、与九郎に耳打ちするやいなや、店の者は皆、あわてて並べた商品を片付け、小僧のひとりはsj_thum.gif鳶頭の清次に万引きがあったと知らせに行く。

 店の者が警戒している中、娘はそ知らぬ顔で、これから八幡様にお参りして来ると言い、店を出ようとしたので、この様子にますます「万引き」と確信した店の者は、娘に隠した緋鹿の子を置いていけと二人を止める。

 呼ばれた鳶頭・清次をはじめ、店の者達の高飛車な態度に四十八は怒るが、娘の懐から緋鹿の子の小裂れが出てきたものだから、店の者はよってたかって二人を殴る、蹴るの暴行を加える。そして番頭が算盤(そろばん)で殴り、娘の額を傷つけてしまう。

 そこへ得意先の集金から帰ってきたsounosuke.gif浜松屋の倅・宗之助が居合わせ、興奮した皆を諌める。よくよく見ると、娘の懐から出た緋鹿の子の小裂れには、山形屋の符牒(タグ)がついていた。四十八から山形屋の受け取り書まで見せつけられ、結局、万引きは間違いであると分かる。ただちに宗之助は詫びるが、四十八の怒りはおさまらず、婚礼の決まった二階堂信濃守の藩中、早瀬主水の息女に万引きの汚名を着せたと、店主を呼べといきり立つ。

 その騒ぎを聞き付けて、奥からhm_thum.gif浜松屋の主人・幸兵衛が出て来て、店の者の無礼を詫びた。四十八は娘の額の傷を店主に見せ、このままでは(娘の父親である)主人・早瀬主水に申し訳が立たず、自分も切腹すると騒ぎ出す。

 幸兵衛は、鳶頭の清次を介して十両の包を渡し、事を穏便に済ますように頼む。ところがその金額に不満でもあるのか、四十八はそれっぽっちじゃと突き返す。幸兵衛は百両を包んで出す。それで、やっと納得して二人が店を出ようとしたところ、玉島逸当という武士が現れ、自分も二階堂信濃守に仕えている身だが、早瀬主水という武士はいないと言い、二人は「詫び金」目当ての「騙(かた)り」だと見破る。そして娘の腕に桜の刺青があることから、実は「男」であることも見破る。

 娘はがっくりと肩を落とし、その時にポトンと前髪の簪(かんざし)が抜け落ちる。さっきまでの楚々とした美しいご令嬢が正体をバラされた途端、「南郷、もう化けちゃァいられねぇ。おらァ尻尾を出してしまうぜ。」と態度も豹変し、急にふてぶてしくなる。「どなたも真っ平御免なせえ」と、人を小馬鹿にしたかのような挨拶をし、思いっきり伸びをした後、着物をはだけさせて、どっかりと胡座をかく。

 やぁ、やぁ、やぁ、美女だと思ったら、男であったことに、店の者は驚く。男は居直って、自分は今、世間を騒がせている盗賊の一味、女装の盗賊・弁天小僧菊之助benten.gifだと煙草を燻らせながら、正体を明かす若党・四十八はその仲間の南郷力丸nan_thum.gifであった。

 だまし取った百両を投げ出し、早く(警察に)突き出せと居直る二人であったが、あまりの太々しさに逸当が二人を斬り付けようとする。二人は怖じ気るどころか、「(斬るんなら)すっぱりとやってくれい」と言い出す始末。しかし、すんでのところで幸兵衛が制止する。さっさとチンピラ二人組には帰ってもらいたかったのである。

 だが弁天小僧は、ぶたれた俺の向う傷をどうしてくれると、まだしつこく強請るので、幸兵衛は薬代として、二十両を渡す。二十両をせしめて、ようやく南郷と弁天小僧は浜松屋を去っていく。

 騒動も一件落着し、浜松屋の主人・幸兵衛と息子の宗之助は小悪党を追っ払ってくれたお礼に、逸当を夕食にもてなす。一方、番頭の与九郎は、さっきの騒動で自分が帳簿を誤魔化して、店の金を盗んでいたことが発覚するのではないかと心配し、逃げようとするが、小僧に見つかり、咎められる。

 しかし、この玉島逸当という男daemon_1.gifも、実は「ある企み」があって、浜松屋に近づいたことを、この時は誰も想像はしていなかったのである。



 <関連記事>

「浜松屋」

「蔵前」

hm_thum.gif浜松屋幸兵衛

浜松屋幸兵衛の衣装

sounosuke.gif宗之助

江戸好みの配色?

da_thum.gif日本駄右衛門

「浜松屋」での日本駄右衛門の衣装

ben_thum.gif弁天小僧

「浜松屋」の場面での弁天小僧の衣装

nan_thum.gif南郷力丸

浅葱色は当時のサラリーマン・カラー?



[参考文献]



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お作法



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平成16年4月歌舞伎座パンフレット(2004年4月)

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平成7年1月歌舞伎座パンフレット『松竹百年 寿 初春大歌舞伎』

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『季刊雑誌 歌舞伎第三号』松竹株式会社(昭和44年1月)




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posted by fuji_nishi. at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | あらすじ
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