[由来] 忠兵衛という男が女のために公金横領(封印切)し、宝永7年(1708)12月5日に牢死した。その実話を元に、近松門左衛門が『冥土の飛脚(めいどのひきゃく)』という世話浄瑠璃を執筆。初の歌舞伎化は菅専助の『けいせい恋飛脚』で、そこから派生したのが「恋飛脚大和往来」である。
[初演]安永7年(1778)大阪角の芝居
[配役]
忠兵衛 大阪の三度飛脚屋、亀屋の養子。養子の立場のため、自由に出来るお金はない。上方歌舞伎の主人公(和事)らしく、色男で愛嬌のある憎めない人柄だが、いささか軽佻浮薄なところがある。
梅川(うめがわ) 新川槌屋(つちや)のお抱え遊女。忠兵衛と恋仲。
丹波屋 八右衛門(たんばや はちえもん) 忠兵衛の友人だが、恋敵。金はあるが嫌なヤツ。
治右衛門(じえもん) 新川の廓、槌屋の主人。梅川の身請けは忠兵衛と考えている。
おえん 新町の茶屋、井筒屋の女主人。忠兵衛と梅川の二人の恋の理解者。
[あらすじ]
大阪の三度飛脚屋(江戸時代に月に三度、定期的に江戸と京都・大阪間を往復した、金融専門の町飛脚。)亀屋の養子である忠兵衛は、新町槌屋(つちや)のお抱え遊女 梅川(うめがわ)と恋仲である。梅川を身請けしようと、すでに手付金五〇両を廓の主人 治右衛門に渡してあるが、残りの二五〇両を工面できずに期日が過ぎてしまった。手付金の五〇両は、友人の丹波屋八右衛門から借りたものだが、実は八右衛門も梅川に惚れていて、身請けを考えている。八兵衛は内心、梅川と恋仲である忠兵衛を快く思っていなかった。
今日もお金もないのに、忠兵衛はまたフラフラと恋人梅川のもとへ来てしまった。ただ、いつもと違うのは、堂島の武家屋敷へ届ける三百両を懐に入れたまま、新町の茶屋 井筒屋の表座敷に来てしまったこと。そして、忠兵衛がいるとは知らずに、友人の八右衛門が座敷に来たこと。八右衛門は梅川の身請けを申し出るが、治右衛門に断られてしまう。
身請けを断られた腹いせと、その場に忠兵衛がいたことから八右衛門は激昂し、いかに忠兵衛がお金がなく、甲斐性なしであるかをあげつらい、挙句の果てには忠兵衛の実父の悪口まで言うのだから、たまらない。八右衛門の罵詈雑言にたまりかねた忠兵衛は、勢いで「金ならあるぜ!」と、懐の三百両の封印を切ってしまう。(「封印切」の場面)
しかし、その三百両は本来なら堂島の武家屋敷に届けるお金。封印を切ってしまった以上、公金横領となり死罪は免れないだろう。死を覚悟した忠兵衛は梅川を身請けし、故郷の大和(奈良県)へ駆け落ちする。
続きを読む

![必殺仕掛人 VOL.1 [DVD] - 林与一, 林与一, 緒形拳, 津坂匡章, 太田博之, 中村玉緒, 山村聡, 池波正太郎, 平尾昌晃](https://m.media-amazon.com/images/I/51dZiZrbGfL._SL160_.jpg)

